石造りの旧宮塚町住宅をリノベーション
ムジカティーの喫茶室もオープン!

石造りの旧宮塚町住宅をリノベーション<br>ムジカティーの喫茶室もオープン!

国道2号線と鳴尾御影線の間の宮塚町に、石造りのモダンな建物があるのをご存知ですか?日華石という石を使った珍しい建物で、昭和27年に建てられた旧市営住宅なんです。この歴史的建造物「旧宮塚町住宅」をリノベーションし、芦屋の市民活躍と地域活性化の拠点にしようというプロジェクトが、芦屋市の男女共同参画推進課を中心に進められていました。
そのプロジェクトの第1期である1階のフロアが7月9日(火)にオープンしました。今回はそのプロジェクトと、芦屋で人気の紅茶専門店「ムジカティー」のティーサルーンなどのテナントショップをご紹介いたします。

『女性が輝くまち芦屋』プロジェクトとエリアブランディング

改装前の1号室(ムジカティー)改装前の1号室(ムジカティー)

まずは、なぜ今回の「旧宮塚町住宅活用事業」を「男女共同参画推進課」が進めることになったのか、芦屋市の男女共同参画推進課の主幹、長岡一美さんにお話をお聞きしました。

「芦屋市はこれまで景観を保護し、自然環境が美しい便利な住宅都市としてPRしてきましたが、IT技術が活用され、場所の利便性が必ずしも重要視されない時代になり、これからは商業面の魅力も発信していかなければならないと考えています。この希少性のある建物を芦屋の魅力発信の拠点にするため、どうエリアブランディングしていくか。この場所から点を線に、そして面にしていくには、女性の活躍をバックアップし、個性的でこだわりのあるお店にテナントとして入ってもらうことがいいだろうということになりました」

そこで男女共同参画推進課の「『女性が輝くまち芦屋』プロジェクト」の一環として、リノベーションが進められたそうです。
(※『女性が輝くまち芦屋』は、就業・起業する子育て世代(20代~40代)の女性を対象に、子育てに有用な情報の提供や多様な働き方、活躍の場の提案など支援をすることで女性の活躍を促すプロジェクトです。)
近年増えてきたコワーキングスペースやシェアオフィスは、その場所で生まれた横のつながりが異業種での情報共有やコラボレーションに発展する等、まさに点が線、面へとの広がりを見せている場所が多くあります。芦屋の人気のスポットである茶屋之町の隣で、芦屋のさらなる魅力発信にこの宮塚町住宅が賑わうよう期待したいですね。

人気の紅茶専門店、ムジカティーのティーサルーン

芦屋市精道町にある紅茶専門店ムジカティーは、堂島で61年、芦屋に移転して6年の老舗です。旧宮塚町住宅は、ムジカティーの創業と同じ1952年に建築されました。この場所でのティーサルーンのオープンは縁を感じますね。オーナーの堀江勇真さんをはじめ、スタッフの方こだわりの内装で居心地が良いティーサルーンに生まれ変わりました。旧宮塚町住宅の一番道路寄りの1号室がティーサロンです。

紅茶のリストにはスリランカを始め、インド、ケニア、中国、日本などの紅茶の銘柄が並びます。選んだのは、ムジカのオリジナルブレンドティー「芦屋プラウド」(税抜600円)。ミルクに合わせるのがおすすめされています。「芦屋プラウド」は筆者のお気に入りの茶葉ですが、やはり自分で淹れるよりも紅茶のプロが淹れてくれたお茶の方が味わい良く感じます。紅茶のポットにティーカップ。ケーキやサンドイッチなども並んだ、採光のいい空間はそれだけで幸せな気分になりますね。オープン当日は、お客様がほぼ途切れない賑わいで、店頭がムジカファンの喜びにあふれたお花でいっぱいでした。
※価格は2019年7月

フルオーダーの革細工「AMEERIEGA TORIBITATTA」

ムジカのお隣はフルオーダー1点物のレザーグッズのお店、「AMEERIEGA TORIBITATTA」。革の細工をする作業場の横にはバッグやお財布、カラフルな革の素材が並んでいます。オーナーの和田 木綿子さんにお話をお聞きしました。
フルオーダーの1点物、お財布の場合は外の革、中のカード入れの色や素材、ファスナーまで好きなものを選ぶことができます。見せていただいた白と緑のカラーが鮮やかなお財布は色の合わせ目の場所は手縫いで、手間と愛情がかけられているのが分かります。大切な人へのプレゼントにオーダーしたくなります。

革はヨーロッパの物がセンスが良く鞣し(なめし)もうまいので、ヨーロッパのものを主に使われているそう。たくさんある革素材を見せていただくと、一般にエキゾチックレザーと呼ばれるスティングレイ(エイ)、パイソン(蛇)、リザード(トカゲ)など、カラフルで選ぶのが大変そう。特にショッキングピンクのオーストリッチ(駝鳥)、銀色の入った黒のクロコダイル革が本当にカッコよくて、この革を使ったものを持ってみたい!
今後は少し変わったものの制作にも挑戦してみたいので、他のお店で無理と言われたものでも一度相談していただければ、と意欲的にお話してくださいました。

ハンドメイドの革靴「ツムジ靴店」

ハンドメイドということは、フルオーダーかセミオーダー?
「外反母趾など、形ににぴったり合わせられるわけではないので、オーダーやセミオーダーではないんですが、サイズを合わせて色と形などを選ぶことができます」とオーナーの辻陽介さん。
今までメーカーで靴職人をされていて、「革靴が好きな人にとっては、最初は硬い靴も慣らしていく事も楽しみですが、女性にとってはハードルが高い」と感じられていたそう。

今回お店のオープンにあたり、女性にストレスなく革靴を履いてもらうために、「革靴は重い、痛い、値段も高い、試着も難しい」という奥様の厳しい意見から、軽くて柔らかいスニーカー感覚で履いてもらえる皮靴を作られています。「本当はちょっと厳しいけど」と言われながら、30,000円を切る価格帯の靴が並べられています。
試着用靴下も置いているので、気軽に試着をしてほしいとのこと。ちょうどいらっしゃったお客さまに足元を撮らせていただきました。似合いそうな他の色の皮を合わせられていて、気に入った靴が好きな色で選べる良さが伝わります。

ガラス工房「火の果ぐらす」

一番奥の部屋は「ガラス鋳造」という珍しい製法のガラス工房、「火の果ぐらす」です。まだ内装工事が途中のところをお邪魔して、オーナーの北川礼子さんにお話をお聞きしました。ガラス鋳造は型を作り、ガラスを流し込んで窯で焼く技法だそう。メインは販売ではなく、お教室になるそうです。

お写真を見せてもらうと、赤ちゃんの足型プレートや置物、きれいで記念になりそうな制作物がたくさん!5月に宮塚公園であった「宮塚パークマルシェ」ではアクセサリーづくりのワークショップを開催されたそうです。教室のオープンが楽しみですね。

オーナーの皆さんから、本当にこだわりと信念を持って起業された熱意が感じられました。どのお店も素敵で、これからの芦屋の発展に、この場所が一役買いそうです。

12月にグランドオープン!

昨年の1期の募集では、内見の申込は約50件、入居の応募が約30件という人気でした。2階の第2期入居テナントの募集も始まっています(2019年7月20日が締め切り)。2階はモノ作りのアトリエや事務所として活用される事業者が募集されています。
12月に2階も合わせた棟全体がオープンする際には、駐車場も整備され、イベントも企画されているそうです。この宮塚町住宅でどんなことが始まるのかワクワクしますね!
(※お写真一部ご協力 神戸R不動産様)

<ライター 杉本せつこ>

Tea Saloon MUSICA(ティーサルーン ムジカ)旧宮塚町住宅

  • 兵庫県芦屋市宮塚町12-24
    旧宮塚町住宅 (GoogleMap)
  • 0797-38-8677
  • 11:00~19:00
  • 日曜日

アメエリーガ トリビタッタAMEERIEGA TORIBITATTA

  • 兵庫県芦屋市宮塚町12-24 
    旧宮塚町住宅102 (GoogleMap)
  • 0797-34-2323

ツムジ靴店

  • 兵庫県芦屋市宮塚町12-24
    旧宮塚町住宅1階3号室 (GoogleMap)
  • 090-3166-5558

ガラス工房火の果ぐらす

  • 兵庫県芦屋市宮塚町12-24-4 (GoogleMap)
  • 090-1318-5598