夏休みに能楽体験!芦屋神社で発表会
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夏休みに能楽体験!芦屋神社で発表会
600年以上も続いている日本の伝統芸能“能楽”(能と狂言)。
その能のお稽古を、プロの能楽師から受けることができる
『能楽こども教室』が、夏休みに芦屋で開催されています。
最終回の発表会では、芦屋神社の御本殿で舞うこともできるというから
貴重な体験となりそうですね。
今回は、そのお稽古の様子を取材してきました。
ようこそ!能の世界へ!
能楽は、ユネスコ無形文化遺産にも認定されており、日本が世界に誇る古典芸能です。でも、「あまりよく知らない」「見たことがない」というお子様も多いかもしれません。そんな能の世界に、夏休みの間に一気に近づけるのが『能楽こども教室』です。これは、文化庁の文化芸術振興費補助金・伝統文化親子教室事業の一環として平成25年より始まった教室で、今回で3回目の開催となりました。教えて下さるのは、芦屋市在住のシテ方観世流能楽師の長山耕三師。芦屋・大阪を拠点に、東京でも活躍される傍ら、年齢を問わないお稽古や講座も開催されています。
能は、室町時代に観阿弥、世阿弥親子により完成され、現在に至るまで脈々と伝え続けられている演劇で、後世に伝えるべき大切な日本の文化です。この“伝承”するという考えは、お稽古の最初のご挨拶にも込められています。「『よろしくお願いします』という言葉には、教えてもらう側の気持ちだけでなく、教える側も『知っていることを教えさせて頂きます。それをまた他の方に伝えて下さいね』という心で言っています」という長山師。見学しているお母様方も長山師のお話に「なるほど…」と思うこともしばしば。子どもたちにとっても、感覚的に日本文化の奥深さが伝わっているのかも知れません。
全力で子供たちを指導して下さるシテ方観世流能楽師の長山耕三氏。実は、中学までは能のお稽古は大キライだったとか…。そんなご自身の経験も今は強みになっているそうです。
お稽古初日
小学生低学年の女の子を中心に、大人も含め、約40名余の参加者に、長山師を含む能楽師の方が5人もついて下さるという豪華なお稽古です。初めて参加のお子様はちょっと緊張気味の様子でしたが、一生懸命に耳を傾けていました。
- 神社の参拝の仕方を学ぼう!
お稽古は、芦屋神社の参集所ですが、最終のお稽古では、芦屋神社の御本殿で仕舞を発表します。そこで、お稽古の前に、神社の参拝の作法を芦屋神社の権禰宜(ごんねぎ)山本さんと長山師に教わり、神様にご挨拶をしました。
- (手水舎)
手水舎で身と心を清めましょう。龍の意味、柄杓の使い方も知りました。 - (鈴)
鈴の音には悪いものを取り払う意味があります。みんなで大きな音を鳴らしました。 - (お願い)
神社は二礼二拍一礼です。「今日からお稽古頑張ります!」とお願いしたのかな。
- (手水舎)
- 能のお話
「よろしくお願いします」のご挨拶の後は、能の世界を軽くレクチャー。能では、歌のことを「謡い(うたい)」、踊りのことを「舞い(まい)」といいます。楽器のお話を聞いたり、面(おもて)を使った能の写真を見ました。
- (手本)
お見本の仕舞「老松(おいまつ)」を舞う長山師。ぱっと空気が変わりました!
- (手本)
- 基本の構えをレッスン
扇の持ち方や立っている時の構え方を知ろう。仕舞での歩き方は「歩み」または「運び」といいます。簡単そうに見えて意外と難しい!?
扇はあせらず広げましょう。
長山師の後ろをすり足で歩いていこう。
- (扇)
扇はあせらず広げましょう。 - (歩み)
長山師の後ろをすり足で歩いていこう。
- (扇)
お稽古2日目
前回の緊張した空気はどこへやら。あっちこっちでお稽古が始まり、講師陣の熱も高まり、会場は熱気に包まれていきました。子どもたちの上達ぶりはたいしたもの。仕上がりが期待できますね。
- 謡を謡ってみよう!
いきなり「高砂(たかさご)」に挑戦。大きな声で謡えるお友だちもいて、初めてにしては上出来!姿勢よく息を全部声に変えてさらに大きな声で謡いましょう。 - レベルに合わせてグループレッスン
4グループに分かれてお稽古。初心者組は、扇の使い方や謡の復習から。慣れている組は、どんどん動きを覚えていきます。こうして、お稽古を重ねて、最終日には一人ひとつずつの仕舞を発表していきます。
お稽古最終日
- 芦屋神社御本殿にて奉納
7回のお稽古を終えたら、いよいよ芦屋神社御本殿で発表会です。当日は芦屋神社 山西康司宮司さまより皆さまへお祓いを本殿でして頂き、みんなで神様に謡を奉納した後は、一人ずつの出番となります。浴衣や袴(有料で貸し出しあり)姿で、暑いひと月に頑張ってお稽古した成果を、神様や皆さまに見て頂きましょう。厳かな場での仕舞、きっと大切な思い出になるに違いありません。
長山耕三師のお父様、長山禮三郎師も華を添えて下さいます。
※発表会画像は過去開催より
ゴールのない芸事の世界。そんな奥の深い能楽の世界、和の心、日本人らしさに触れることが出来る能楽教室はとても有意義だと感じました。年々リピーターのお子様も増えているとのこと。大きなお返事が出るようになったり、日本の文化に興味を持ったり、新しい自分に出会えるかも知れませんね。
芦屋能舞台(ashiya nohbutai)
- 兵庫県芦屋市松ノ内町10-16 (GoogleMap)
- 0797-26-6290
〈ライター 長谷川幸子〉