マンションの建替え問題(2)
さて、建替え問題が出た住野さんのマンション・・・これまで管理組合のことには無関心だった住野さんも、これは一大事。建替え問題について管理組合の総会で協議されることになったため、総会に出席することとしました。住野さんのマンションでは、現在のところ、建替えに賛成する人と反対する人はちょうど半々で、住野さんもどちらかというと今のままでいいのではないかと思っています。総会では予想されたとおり、様々な意見が出ました。「今のままでも修繕や改修をやっていくことで十分対応できるのではないか」「建替えとなるとその費用をどうやって捻出するのか。今でさえ、ローンが残っているというのに」「建替え期間中の仮住まいをどうするのか」と、反対派からはもっともと思われる意見が出てきます。それに対して推進派からは、「修繕や改修など、その場の間に合わせ的なことをしても、余計に費用がかかるばかりだ。建替えをした方が長期的に見れば安くすむ」「設備が古くて今の時代に合わない。今のマンションはオートロック式でないので、防犯上不安がある」「自分たちも年を取ってきたが、バリアフリーにしないと不安がある」等々・・。
推進派によれば、最近は、マンション建替えについての法令や行政からの支援体制、融資制度なども整ってきており、建替えは比較的容易になっているとのことです。そして、推進派は、建替えをしなかった場合の修繕・改修費の計算書と、建替えをした場合の計算書を提出してきました。確かに彼らの作成した資料によると、長期的に見れば今、建て替えをした方が安くすむような内容になっています。しかし、反対派からは、それがラフな計算書なので、本当にどうかはわからない、などとの疑問も出されました。
そこで、理事長からの意見。「建て替えは、いずれにせよいつかはしなければならない問題です。今、それをすべきか否か、それは慎重に考えなければならないと思います。今、本当に建て替えた方がいいのか、それとも当面、修繕や改修で繋いでいった方がいいのか、建て替えをする場合には、どんなスケジュールになって、どんな作業が必要になるのか、融資や仮住まいの問題にどう対処すべきなのか、結論を出すにはきちんとした専門家も入れた検討会を立ち上げて勉強をしていく必要があるのではないでしょうか。」これは、もっともな意見ですので、一同賛成しました。そして、建替え、修繕・改修のいずれにも経験が豊富な専門家に入ってもらう検討会を管理組合理事会の諮問機関として発足させ、希望者がその検討会に参加することとなりました。
住野さんも、この検討会に参加することとしました。本当はご主人に参加して欲しかったのですが、ご主人は「俺は仕事で行けないことも多いからなあ。お前に任せるわ!」といつもの調子です。
専門家については、複数の候補が上がりましたが、総会で多数決の結果、A建築事務所に決定し、調査依頼費用の予算100万円についても承認されました(区分所有法第39条の普通決議で過半数の決議となります)。
また、仮に建替えるとしたら、どのようなマンションにしたいか、現状でどのような点に不満を抱いているか、検討会でアンケートによる住民に対する意識調査をすることとなりました。アンケート調査の結果、防犯上不安なのでオートロック方式にしたい、バリアフリーにしたい、エレベータが遅い、などの意見が多く、その他、ウォークインクロゼットが欲しい、キッチンをアイランド型にしたい、全面フローリングにしたい、トイレはノンタンク型のウォシュレットで、などという意見もかなりありました。そこで、これらの意見をまとめた上で、A建築事務所と打ち合わせを繰り返し、そのようなマンションに建替えた場合の費用と、改築・修繕した場合の費用の概算をしてもらうこととなりました。(続く)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
第39条(議事)
1 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を行使することができる
※掲載している情報は、2007.03.01の情報です。
そのため記載内容が、最新のものと異なる場合があります。

木村 雅史(きむら まさし)
木村雅史法律事務所 代表
昭和40年7月2日生まれの気さくな弁護士先生。明るく温和な雰囲気と真摯に問題に取り組む姿勢はごくプライベートな問題を安心して任せられます。
<過去に取り扱った案件等>
刑事事件(少年非行事件含む)も扱いますし、また民事一般・・・金融・債権回収、不動産、建設、相続、交通事故その他損害賠償、倒産処理(クレサラ問題含む)も扱っています。離婚等も多いです。特殊な事件ですと児童虐待事件などの取扱い経歴もあり。
まずはご相談下さい。
昭和59年3月 | 兵庫県立明石北高等学校卒業 |
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昭和60年4月 | 京都大学法学部入学 |
平成2年 | 司法試験合格 |
平成3年3月 | 京都大学法学部卒業 |
平成3年4月 | 司法修習生就任 |
平成5年4月 | 弁護士登録(大阪弁護士会) |
平成11年4月 | 木村雅史法律事務所開業 |
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