14歳の猫を飼っています。年のわりには元気だったのですが、最近異常なほど元気で、食欲も旺盛なのに痩せてきました。何か疑われる病気はあるでしょうか?

高齢の猫ちゃんが元気すぎる、食欲も旺盛なのに痩せてくる、こういった症状がみられるときには、甲状腺の機能亢進症の疑いがあります。前回のコラムでは甲状腺の機能低下症(ホルモンが出なくなる病気)を取り上げましたが、今回は甲状腺からホルモンが過剰に出すぎてしまうものです。症状としてよくみられるのは体重減少、多食、多飲多尿、性格の変化、毛並みの変化(悪化)、嘔吐などですが、これらの症状は、腎不全や糖尿病などでもみられるため診断には血液検査が必要になります。通常は甲状腺ホルモンを測定し、基準値より高ければ確定診断できます。 治療は、甲状腺ホルモンの生成を抑制する薬を与えるか、あるいは甲状腺ホルモンの生成に必要なヨウ素含有量を制限したフードを与えるというのが最初に行う方法です。どちらの治療にも即効性はなく、症状の改善には数週間かかることもあり、症状が改善してからも投薬の継続と定期的な検査が必要です。 治療を開始してしばらくすると、腎不全がみられることがあります。これは治療に対する副作用ではなく、今まで潜んでいた腎不全が、甲状腺の問題が解決するにしたがって顕在化してしまうというものです。この場合は、合わせて腎不全の治療もしていく必要があります。 高齢なのに元気、活発でよく食べるという病気のため、ついつい飼い主さんも見逃しがちなこの病気ですが、高齢の猫ちゃんにはときどきみられるので注意してあげてください。ちなみに犬にはまれな病気です。しっかり食べているのに痩せてくる場合は動物病院で診察をうけるようにしましょう。