骨折の治療法について教えてください。

以前にもこのコラムで書いたことがありますが、幼少の小型犬はとにかく前足の手首に近い部分を骨折することが多いです。ちょっとした高さから飛び降りたり、走り回ってぶつけてなどが原因ですが、骨が細いうえにその骨を支える周囲の筋肉などの組織が少なく、かつ、活発に飛んだり跳ねたり動き回るので治療が大変なのです。治療方法は、手術、あるいは外固定といういわゆる副木を使ったものになります。多くの前足の骨折は幼少期の骨の成長が活発な時に見られるため、生後1年以内の単純骨折であれば外固定で治せる事がほとんどです。当院ではKPSという犬の前足の形状に合わせてつくられた外固定用の器具を使い、テープで固定します。骨折端のずれがほとんどない状態では無麻酔で固定し、ずれが大きい時は麻酔をかけてできる限りもとの形状に整復して固定します。手術ではないので患部を切ったりはしません。固定の状態がいい場合は1か月ぐらいで安定化するので、KPSを短く切ることにより、少しずつ患肢を地面について歩くようにして骨折部位に負荷がかかるようにし、治癒を促します。40日もすれば外固定をはずして普通に歩けるようになります。
全ての症例が外固定で治るわけではなく、生後1年以内であってもあまりにも関節に近い部位が折れている場合や骨片がいくつも生じるような骨折の場合、あるいは骨が皮膚から飛び出しているようなときは手術による治療になります。