犬の歩き方が何となく変に見えます、痛がったりはしていないようなのですが病院に行った方がいいでしょうか?

ペット大好き!芦屋のシエル動物病院の木村院長のコラム更新!

歩き方がおかしい、びっこをひいていることを跛行といいます。完全に足を挙上している場合は、どの足が問題なのかは飼い主さんにも明瞭にわかるものですが、何となく歩き方がおかしい、というぐらいだと問題となる足、つまり患肢を見つけることから始める必要があります。お家でできることも多いので実践してみてください。

まずはよく観察します。小走りだと体重移動が速くなるため、わずかな異常所見の場合にはどの足が悪いのかわかりにくくなります。ゆっくり歩いている様子を横から後ろからじっくり観察するようにしましょう。最近では自宅で歩く様子、異常所見を動画に撮ることをおすすめしています。

次に、立って静止している様子を見てみましょう。後方から見て後肢の体重のかけ方が左右均等になっていない場合はどちらかの足に問題があります。後ろ足の左右幅が前足のそれより明らかに狭いとき、背中を丸めて歩いているとき(背弯といいます)は後ろ足の負担を減らすために前足荷重にして歩いているはずです。

頭を上げ下げしながら歩いていることがあります。これはヘッドボブといって、痛む前足を着地するときに頭をあげて患肢の負担を軽減している様子です。痛みを抱えている前足がどちらなのか見つけるヒントになります。後ろ足に痛みがあるときは、痛い足を着地するときに腰を少し浮かせることで患肢の負担を軽減しています。

お座りをしているときの様子からもいろんなことがわかります。痛い足を外側に投げ出す姿勢、いわゆるお姉さん座りをしていると膝の靱帯損傷なども考慮に加えます。もちろんお姉さん座りをしていたら必ず靱帯が悪い、というわけではありません。習慣性のことも、ただリラックスしているだけのこともあります。

触診もやってみましょう。無理のないように各関節をそっと曲げ伸ばしをし、疼痛が誘発されるかどうかみます。足の付け根から足先まですべての骨、筋肉を順番に触っていき異常所見を見つけます。慢性的な跛行の場合は筋肉量が違ってくるので左右の足の太さを比較することも重要です。中年期以降は腫瘍が原因のこともあるので足だけでなく全身の触診も必要になります。

足の裏をずっとなめている場合は、なめている部分をしっかり観察します。足の裏の、とくに肉球と肉球の間の皮膚が痒く自分で舐めて悪化させ、着地するのも痛いぐらいになっていることがあります。つまり皮膚病でも跛行はみられるということを忘れないようにチェックしましょう。

跛行の原因が何であれ、痛みなど問題を抱えているはずですのでかかりつけの病院に相談するようにしましょう。