先日、飼い犬の調子が悪く、動物病院へ行きましたところ、特発性多発性関節炎の可能性があると言われました。詳しい検査をすすめられましたが、どんな病気なのでしょうか?治るのでしょうか?
犬の多発性関節炎は、小型犬で時々見られる病気のひとつです。原因はよくわかっていませんが、本来感染症などから体を守る免疫系という仕組みが病気の発生にかかわっていると考えられています。似たような病気にリウマチがありますが、リウマチと違って、骨にまで病気が進み、変形を引き起こすような骨病変はみられないのが特徴です。
症状は、歩きたがらない、歩き方の異常、発熱、食欲低下が主です。手首や足首、膝関節に症状が出ることが多く、症状がひどい時には、関節の腫れが飼い主さんでもわかります。
診断は、レントゲンで骨の変形や骨折などの他の病気がないか確認します。血液検査では白血球数や炎症反応をしめすCRPが上昇しているかどうか確認します。これらの検査で関節炎が疑えるようなら、関節液検査を行います。これは疑いのある関節に注射針を刺し、取れてくる液体の成分を検査するものです。
治療は、まずステロイド薬から始めます。ほとんどの場合数日で劇的に症状が改善、つまり元気、食欲もでてきて、発熱も治まり、痛みもなくなるので歩き方も正常となります。ですが、よくなったからといって薬を止めるとすぐに再発しますのでゆっくり薬の量を減らしていくようにします。ステロイドで十分な効果がみられないときやステロイドの副作用が激しい場合は免疫抑制剤を使用します。この病気のおよそ半数は治療を止めることができますが半数は継続治療が必要になります。継続治療が必要な場合でもちゃんと指示通り投薬を続けていれば元気に過ごせます。治りが悪い時は基礎疾患として、感染症や胃腸炎、腫瘍などがみられる場合があるのでさらなる精査が必要です。