今年で12歳になるゴールデンリトリバーを飼っています。
小型犬にもみられますが、とくに大型犬のゴールデンやラブラドールでこのような質問をお受けすることがよくあります。後ろ足を痛そうに引きずりながら散歩しているワンちゃんの姿をみることも多いですね。高齢かつ大型犬の場合は、股関節の変形によるものが多いように思います。後ろ足が痛いと、犬は体重を前足にかけるようにしてその痛みを和らげるように工夫します。その結果として、後ろ足が痛い時には背中を丸めて歩くようになり、後ろ足をできるだけ使わないように歩くので後ろ足の筋肉がやせ細ってきます。そしてソファーや階段のような高いところに前足を踏み出して後ろ足で全体重を支えることを躊躇するようになるというわけです。
これらの症状がみられる場合、関節を構成している軟骨や骨の変形を元のきれいな状態に戻すのは困難なので痛みのコントロールを目標に治療していきます。痛みの激しいときには動物用の抗炎症薬で痛みを緩和します。コンドロイチン、グルコサミンなどのサプリメントは効果が出るまでに時間がかかりますが副作用の心配がなく毎日与え続けることで関節の保護作用が期待できます。痛みを取り除くことにより歩けるようになれば筋力を維持するためにも、毎日ゆっくり歩くという運動もしてあげたほうがいいですね。今回は股関節の変形について書きましたが、このほかにもヘルニアなどによる神経疾患や時々みられる神経や骨の腫瘍によるもの、免疫性の関節疾患など、後ろ足の異常を呈す疾患はたくさんあるので、かかりつけの動物病院でまずは診てもらってください。