お聞きする限りは腹囲膨満という状態のようですね。腹囲膨満の症状を示すのは肥満ももちろん含まれますがそれ以外にも注意しないといけない病気がいくつかあります。
まず、急性に、つまり数時間のうちに腹部がパンパンに張ってくる場合は注意です。これには胃拡張や胃捻転が原因していることが多く、胃にガスが貯留して呼吸がしづらくなり放っておくと命にかかわります。指先で膨らんだ腹部を軽くたたくと太鼓をたたいた時のようにポンポンと音がなるので、そういった症状がみられたらすぐに診察をうけるようにしましょう。今回のお問い合わせではそこまで急速なものではなさそうなので、肥満以外で考えられることとしては腹水、腹腔内腫瘍、そして避妊をしていない女の子の場合は子宮内の液体貯留や卵巣嚢腫などがあります。
　腹水の場合はゴム風船に液体を入れてそれを外から触るような触感が認められます。原因としては心臓疾患、肝臓疾患、腸疾患による低蛋白血症が原因していることが多く、中には腹膜炎や腫瘍からの出血のこともあります。心臓疾患や肝臓疾患そして出血や腹膜炎の場合は元気や食欲も低下していることが多いのですが、腸疾患による低たんぱく血症による腹水では、他の症状がまったく見られないことがあります。そのため発見が遅れ、時には命にかかわることもあります。
腹腔内腫瘍の場合は、腹部の触診で硬いしこりのようなものを認めます。
あと、犬の腹囲膨満で時々見られるのが副腎皮質機能亢進症です。内臓を支える腹筋が薄くなりお腹が下方へ垂れ下がるようになります。腹筋が薄くなることで内臓を通常よりも触りやすくなることが特徴的です。
ご自宅での健康チェックのひとつとして、日頃からワンちゃんが嫌がらない程度に腹部を触るようにし、異常かなと思われるときには受診し、エコー検査などを含めた検査を受けるようにしましょう。