飼い犬のプードルの毛が全体的に少なくなってしまいました。痒みはないのですが、見た目が貧相で、病院で診てもらった方がよいでしょうか?
痒みがない、皮膚が赤く炎症を起こしている様子もない、かさぶたもなく脱毛部位は比較的ツルツルできれいに見える、難しく言うと非炎症性、非掻痒性皮膚疾患が疑われます。
簡単に分類すると、ホルモン疾患の副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調、そして、先天性遺伝性に分類される淡色被毛脱毛症、黒色被毛包形成異常症、毛包異形成症、最後に原因不明の皮膚病として毛周期停止、再発性側腹部脱毛症、パターン脱毛などちょっと難しい病名が挙がります。
イヌ、ネコの毛はずっと伸び続けるわけではなく、毛周期というものがあります。発毛し、どんどん毛が伸びる成長期、そして退行期を経て休止期に至り毛の成長は停止します。そして新しい毛が生えるとともに毛が抜け落ちます。この毛周期に影響を与える因子があります。甲状腺や副腎から生成されるホルモン、睾丸や卵巣から生成される性ホルモン、様々な毛の成長因子、光や気温などの環境因子、栄養状態も大事な要素です。これらの毛周期に関わる因子の異常により毛周期が正常に営まれなくなると脱毛がおこります。
甲状腺の異常が疑われるときは甲状腺ホルモンの投薬、副腎からのホルモンが原因している場合はホルモン産生を抑える薬を、性ホルモンによる場合は、避妊、去勢手術により大半は改善がみられます。それ以外の上記脱毛に関しては、遺伝性であったり、原因がよくわかっていないというのが現状ですので治療もいわゆる試験的なものになり、しかも長期に及びます。治療にはメラトニンをはじめとする様々なサプリメントを使用しながら、皮膚のコンディションを上げるためにシャンプーや保湿などで皮膚のケアをしっかり、根気よく続けることが重要になります。改善がみられるまで、時には数か月以上かかることもあります。
時間はかかりますが改善は十分に期待できますので、かかりつけの病院に相談されることをお勧めします。