ターミネーター

有名な監督や俳優には出世作というものがあります。注目を浴び、スターダムにのしあがるきっかけになった作品のことです。今回ご紹介する「ターミネーター」はそのわかりやすい例だといえるのではないでしょうか。
近未来、世界は人類根絶のため戦いを始めた機械によって見渡す限りの廃墟と化し、わずかに生き残った人類は地下に潜り絶望的な抵抗続けていました。そんな中、一人のリーダーが現れ、人類を勝利へと導きます。劣勢に追い込まれた機械達は彼の存在そのものを抹消しようと考え、タイムマシンにより、彼の母親を抹殺するべく「ターミネーター」を過去へと送り込みます。こうして人類の存亡をかけた戦いが現代のLA で始まるのです。
無敵の殺人マシーン「ターミネーター」のあまりにも無機質で冷酷な描写は、シュワルツェネッガーの風貌も手伝って異様な恐ろしさです。逃げても逃げても、倒しても倒してもひたすら無表情に追いかけてくるという恐怖は、公開から20年たった今でも色あせていません。また、終盤の「これでもか!これでもか!」というスリルと驚きが連続する展開と演出は実に見事です。本作以降、全ての映画の悪役は容易に倒れることが出来なくなってしまうほど、その展開と恐怖はセンセーショナルなものでした。
監督はジェームズ・キャメロン。本作をきっかけに売れっ子監督となり、「エイリアン2」「タイタニック」などを監督し、今やハリウッドを代表する大物監督となりました。主演のシュワルツェネッガーも本作が高く評価され、「コナン・ザ・グレート」などのB級マッチョ俳優からハリウッドを代表するスターになり、本作以降、多くの大作アクション映画に主演してヒットを飛ばしました。本作が出世作だったのはキャメロンとシュワルツェネッガーだけではありません。「ターミネーター2」を撮影するべく、前作のスタッフとキャストを集めるとギャラだけで前作とは比較にならない額になったそうです。「ターミネーター」という一本のB級アクション映画は制作に関わった多くの人の評価をA級にしてしまったということがよくわかるエピソードです。
さてシュワルツェネッガーも今やカリフォルニア州知事です。大統領選への出馬が噂されるほどの大物政治家になってしまいました。シュワルツェネッガーと同じ肉体派のライバル、シルベスター・スタローンの近未来SF、「デモリッションマン」で未来の世界で冷凍睡眠からさめた彼が、未来の社会について会話するシーンがあります。アメリカ大統領がシュワルツェネッガーだと聞いて驚くというものなのですが、いまやギャグとは言い切れないわけです。もう映画界へシュワルツェネッガーが復帰することは無いかもしれません。チョイ役ならまだしも、主演作となると難しいでしょう。しかし、彼の決めセリフを思い出すと、その可能性も無いとは言い切れません。
I'll be back!!
CINEMA DATA
1984年制作
【配給】 | オリオン |
---|---|
【監督】 | ジェームズ・キャメロン |
【出演】 | アーノルド・シュワルツェネッガー |
リンダ・ハミルトン 他 |
20世紀フォックスホーム エンターテイメントジャパンよりDVD発売中
©Eiga-zaru 2004-2018
※掲載している情報は、2006.12.01の情報です。
そのため記載内容が、最新のものと異なる場合があります。
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