バットマン

スパイダーマン、Xメン、ブレイド、ヘルボーイ、最新の映像技術で映画化されヒットした、これらのハリウッドムービーの共通点は何でしょうか?
そう、全てコミックが原作なのです。いまやアメリカンコミックの人気作はそのほとんどが映画化されるといっても良いでしょう。しかもその多くが、多額の予算とビッグなハリウッドスターの出演で撮る大作です。全ては今回、ご紹介する「バットマン」のヒットがきっかけだったのです。
ギャングに牛耳られ、悪がはこびる街、ゴッサム・シティー。この街に敢然と悪に立ち向かう男が現れます。コウモリを模した覆面をつけ、夜の闇を駆け、悪党をなぎ倒す謎の男。彼こそがバットマンなのです。一方、ギャングのジャックはバットマンと争い、化学薬品のプールに落ちてしまいます。死んだかと思われたジャックですが、怪人ジョーカーとして奇跡の復活を遂げ、バットマンへの復讐を誓います。
本作はバットマンとジョーカー、二人の怪人の対決を描いた映画と言えるでしょう。正義と悪にこそ別れていますが、どちらも正体を隠し、怪しげな衣装を身にまとい、秘密兵器を駆使して戦います。バットマンが自分の行為が本当に正義といえるのか、バットマンと大富豪ブルース・ウェイン、どちらが本当の自分なのか思い悩む描写は、暗く陰鬱なゴッサムシティーの夜の映像とあいまって、本作を単なる子供向けのヒーロー・アクション映画とは一味も二味も違う映画にしています。また美術や衣装も素晴らしく、特にバットマンの衣装を単なる全身タイツではなく、筋肉を強調するデザインのラバースーツにしたことは特筆に価します。この手法は以後のコミックヒーロー映画に大きく影響を与えました。
監督のティム・バートンはお得意の映像美と、バットマンを孤独な一人の人間として描くことで、本作を単なるコミックの映画化という枠を越えた作品にすることに成功しました。出演陣も豪華です。なによりも悪役ジョーカーを演じたジャック・ニコルソンがまさに怪演という演技を見せ、マイケル・キートン演じるバットマンと好対照を見せています。今でこそ、名の売れたスターがこうした特殊メイクを駆使する役を演じることも珍しくありませんが、公開当時、ニコルソンのような有名俳優が白塗りと特殊メイクをして悪役を演じるなどということは考えられませんでした。
本作のヒットでシリーズ化されたバットマンは、ダニー・デビート、ミシェル・ファイファー、ジム・キャリー、トミー・リー・ジョーンズ、アーノルド・シュワルツエネッガーなど毎回ビッグキャストを配し、個性的な悪役を登場させています。今ではバットマンの悪役にキャスティングされることは一流スターの証しとも言えるでしょう。(最新作では「ラストサムライ」で高く評価された渡辺謙も出演しているそうです。)
本作はコミックの映画化というジャンルを確立し、同時にビッグなスターがこうした特撮映画(って言い方も古いですが)に出演するさきがけともなった記念すべき映画だといえるでしょう。そういう意味では、現在ハリウッドで主流となっている映画界の大きな動きの発端となった映画でもあり、機会があれば一度ご覧になることをお勧めします
CINEMA DATA
1989年制作
【配給】 | ワーナーブラザース |
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【監督】 | ティム・バートン |
【出演】 | マイケル・キートン |
ジャック・ニコルソン | |
キム・ベイシンガー |
ワーナー・ホーム・ビデオよりDVD発売中
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※掲載している情報は、2006.04.01の情報です。
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