パイレーツ・オブ・カリビアン

ジェリー・ブラッカイマー制作です。「ザ・ロック」「コン・エアー」「パール・ハーバー」「アルマゲドン」などなど次々とヒットをとばし、いまや名プロデューサーとして、飛ぶ鳥を落とす勢いのあのブラッカイマー氏制作なのです。
はっきり書いてしまうと私、映画ファンとしてはブラッカイマー氏にあまりいい印象は持っていません。「パール・ハーバー」や「アルマゲドン」のような、お金はかけているけど中味は薄いブラッカイマー作品にうんざりさせられたことも少なくありません。しかしながら、映画ファンという立場を離れると、ブラッカイマー氏に一種の好感を感じてしまうのです。なんというかこの人の映画は、下心が見えるというか映画の企画風景が想像できてしまうわけですよ。そりゃもう「パール・ハーバー」なんかもう露骨に見えてしまうわけです。「流行りはラブストーリーや!ワシらもラブストーリーでガッポリもうけたろうやないかい。せやな、タイタニックが船沈めたんやったら、こっちは戦争でどうや!第二次大戦を舞台にラブストーリーでどや!これは泣けるでぇ。いける!これは儲かるで!」という何故か関西弁のブラッカイマーさんの声が私の脳裏に聞こえてくるのです。無論映画も商売ですからこういう思惑は当然なのですが、この方はそれが露骨というかわかりやすいんですね。この節操のなさというか、ちゃっかり具合についつい親近感を感じてしまうわけです。
さて、そのブラッカイマー氏制作の本作ですが、呪われた海賊の宝を巡る冒険活劇です。上記のような下心は少し押さえ気味というか「迫力ある画面でおおもうけ」という、わりと当たり前の発想ですが、それが良かったのか気持ちのいい娯楽作品に仕上がっています。大作プロデューサー、ブラッカイマーの名に恥じない大掛かりなセットとレベルの高いCG技術で、画面は美しくて迫力あるものになっていますし、海賊船を舞台にしたアクションも迫力十分です。シンプルなストーリーでありながらスリルある展開で、大人から子供まで楽しめる映画に仕上がっています。
主演は「シザーハンズ」「スリーピーホロウ」などで知られるジョニー・デップ。個性的な海賊ジャック・スパロウを怪演してます。このジャック・スパロウ、近年まれに見る強烈なキャラクターです。そのハジケ具合は一見の価値があります。おそらくこのキャラクターを一作で葬るのはしのびなかったのでしょう。第二作の制作が決まったそうです。
思うに、ブラッカイマー氏、過去にも「ザ・ロック」とか「コン・エアー」などアクション中心の娯楽作品は、結構いいものを作っているんです。ところがラブストーリーや人間愛みたいなものを主題に据えて映画を作ると「パール・ハーバー」や「アルマゲドン」のような「トホホ」な作品になってしまうわけです。これはやはり、ブラッカイマー氏の中の「関西下町おっさん遺伝子」のようなものが影響しているのではなかろうかと思うのです。
おそるべし「関西下町おっさん遺伝子」。
CINEMA DATA
2003年制作
【配給】 | ウォルトディズニーピクチャー |
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【監督】 | ゴア・ヴァービンスキー |
【制作】 | ジェリー・ブラッカイマー |
【出演】 | ジョニー・デップ |
ジェフリー・ラッシュ | |
オーランド・ブルーム | |
キーラ・ナイトレイ |
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※掲載している情報は、2005.04.01の情報です。
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