先日、愛犬の肛門の横が腫れているのに気づきました。触ると柔らかい感じで、恐る恐る押してみると、すっと入っていきましたが、またしばらくすると出てきました。何が考えられますか?
お聞きする限りは、会陰ヘルニアが一番に疑われます。ヘルニアというと椎間板ヘルニアと勘違いされがちなのですが、もともとヘルニアというのは飛び出すという意味で、椎間板の内容物が飛び出したものを椎間板ヘルニア、おへそが出ているものを臍ヘルニア、鼠径部(下腹部の内股のあたり)で飛び出しているものを鼠経ヘルニアといい、会陰部、つまりお尻の肛門周囲あたりに出ているものを会陰ヘルニアと言います。肛門周囲はいくつもの筋肉が重なってしっかりとした組織を形成し、腹腔内の臓器を支えているのですが、これらの筋肉が薄くなると支えがきかず、ぽっこりと出っ張ってきます。最初は腹腔内の脂肪組織が出てくる程度なので指で押し込むことが可能です。もちろん押し込んでもすぐにまた出てきます。それが悪化してくると、便を含んだ腸管が入り込んできて、便が出にくくなってきます。もともと去勢していないオス犬にみられることが多い病気なので、さらに進行すると膀胱や前立腺までもが入り込み、排尿困難になることもあります。治療は手術になります。あまりにも進行して筋肉がぺらぺらに薄くなると手術の難易度も上がってきますので、まだ筋肉がある程度残っている間に治療するほうがいいでしょうね。ちなみに、幼少期に去勢をするとこの病気になりにくいと言われています。