シーズーを飼っています。数年前から近くの動物病院でアレルギー性の皮膚炎という診断をうけ、治療しています。プレドニゾロンというステロイド剤を使っていますが、副作用が心配で、いろいろ調べたところ副作用の少ない新しいお薬があると聞きましたが、うちの犬にも使えるでしょうか?
お問い合わせのお薬はオクラシチニブのことだと思います。商品名はアポキル。犬用のアレルギー性の痒みを押さえるためのお薬でステロイド剤のかわりに使われるようになってきています。使用方法は、体重に合わせて処方された量を最初は1日に2回痒みが落ち着くまで最大2週間投与します。そして痒みの様子をみながら1日に1回の投与にします。ステロイドとの違いは副作用がほとんどないこと。これは、飼い主さんにとっても我々獣医師にとっても安心して使えるということになります。
ただし、全ての痒みに対して効くわけではありません。食事アレルギー、肌のべたべたする脂漏症、細菌やカビ、寄生虫などの感染症による痒みにはほとんど効きません。また、痒みの原因がアトピー単独ではない場合にも効果が乏しいことがあります。たとえばアトピーと食事アレルギーが同時に見られる場合、オクラシチニブはアトピーの痒みには非常に効果的ですが、食事アレルギーによる痒みには反応が悪いので、せっかくお薬を与えても痒みが止まらないということになります。痒いからとりあえずオクラシチニブ、という使用ではなく、ちゃんとした診断が必要ということですね。食事アレルギーはアレルギー用の食事に変更、べたつき肌の脂漏症には適切なシャンプー療法、感染症には抗生剤などの治療をおこない、残ったアレルギー性の痒みに対してオクラシチニブを使用するのが正しい治療法といえると思います。